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まめぱん通信 − まめぱんだより
■ ごあいさつ ■

早いもので、都会からこの信州の高原に移住してもう9回目の春となります。

標高860m。冷涼な高原気候のこの村に移住を決めたのは、ちょうど10年前の'94年のことでした。

村のどこからでも雄大なアルプスを一望できる素晴らしいロケーションと、観光地化されていない静かで素朴な村の雰囲気に魅せられて、かねてから田舎暮らしを夢見ていた私たちは、すぐに移住を決意。
幸運にも、約1ヘクタールもの広大な森を手に入れることができ、さっそくここに生活の拠点となるログハウスを建てて、いよいよ待望の田舎暮らしが始まったのです。

最初の年は、新鮮な驚きの連続でした。

深夜でも影ができるほどの満月の明るさに感激したこと。

クリスマスの日に初雪が降って、あたり一面まっ白の美しいホワイトクリスマスを過ごしたこと。

夜道を車で走っていたら、道の真ん中で野生のシカにばったり出くわしてびっくりしたこと。

家の窓ガラス越しのほんの数メートル先まで野ウサギやフクロウがやってきたり、雪に埋もれた木々の間を忙しそうに駆け回るリスを観察したり…。

ここに来なければ一生知らないまま過ごしたかもしれない貴重な体験を、いくつも重ねました。

初めて挑戦した野菜づくりも、そんな貴重な体験のひとつかもしれません。

食の安全性に疑問を抱き、安全な無農薬・有機野菜をいつかは自分たちの手で作ろう、と考えてたことも田舎暮らしを始めた理由のひとつでした。

こちらに来て、さっそく農作業に取り組みましたが、しかし原野の開墾状態から始めた素人の野菜づくりは、決して楽なものではありませんでした。

よく「土作りには3年かかる」などと言われますが、まさしくその通りで、最初の1〜2年は作物などほとんど育たず、ニンジンは葉っぱばかり大きくなって肝心の根っこはヒョロヒョロ。キャベツや白菜は全く結球せず、虫に食べられてばかり。種まきや苗を植えるタイミングを見誤って霜にやられたりと、失敗と苦労の連続でした。

それが3年目くらいから、状況は少しずつ好転し始めたのです。

ガチガチだった土はフカフカになって大きなミミズが顔を出すようになり、多くの失敗から学んだことで野菜づくりのコツもだんだん分かってきました。

こうなると野菜作りもますます面白くて止められなくなり、規模もどんどん拡大していきます。

より広大な畑を借りて麦や雑穀まで手がけるようになり、自分たちで食べきれないほどの収穫物を、都会の友人知人たちに分けてあげられるまでになりました。

「自分たちで食べるものは、自分たちの手で」

遠かった目標のひとつに、数年かけてようやく到達しました。

そして今。

さらに次のステップを目指すことになりました。

自信を持てるようになった麦や雑穀づくりをさらに発展させて、今度はパン屋さんに挑戦です。

自分で麦を作って粉にし、パンを焼く。

9年前にこの地に来たときには、こんな自分の姿は想像もしませんでした。

まさか自分がパン屋さんになるなんて…。

田舎暮らし9年目の、またまた新たな挑戦の始まりです。